ポケモンGOブーム終了?イングレスと重ね合わせればまだまだある今後の施策。
ポケモンGOの大フィーバーっぷりから一転、色々と社会問題も提起されたりしてきて、ついに「ポケモンGOはオワコン」的なニュースも見るようになりました。
けど・・・イングレスでのこれまでの施策と重ねあわせると、ポケモンGOは、またはNianticはまだまだ打てる手があります。
ポケモンGOブーム終了?イングレスと重ね合わせればまだまだある今後の施策。
ポケモンGOの熱狂ぶりが落ち着くと、反動でなのかこういうニュースが出るようになりますね。
「ポケモンGO」はピーク過ぎた-チャートは下降トレンドを示唆 https://t.co/uB0QhHiHAD
— ブルームバーグニュース日本語版 (@BloombergJapan) 2016年8月24日
あまりに衝撃的な世界リリース時のDAU(1日の利用ユーザー)の上がりっぷりなどを見ると、落ち着くと逆に「もうだめ?」という話になりがちです。
メディアも散々持ち上げておいてから今度は落とす、という振り子の原理で動きがちなので仕方がないでしょう。
ポケモンGOのポケストップやジムなどの位置データはイングレスのポータルをベースにしていて、位置情報ゲームとしてのフレームワークがイングレスからの流用なのは世間に広く知られるようになりましたが、それだけではなくNiantic,Inc.は機能追加やイベント・提携などでもこれまで経験値をしっかり上げていてきています。
それらはポケモンGOではまだまだ実現していません。ということで、イングレスのこれまでの施策を見ると今後ポケモンGOで打てる手は見えてくると思います。
機能追加
ポケモンGOとイングレスを見比べるとイングレスにあってポケモンGOにない機能が結構あることに気づきます。
さらっと表にしてみました。
機能 | イングレス | ポケモンGO |
ミッション | あり | なし |
ユーザー間コミュニケーション | COMM | なし |
ポータル追加 | ユーザーがアプリを使って申請。審査混雑を理由に現在停止中。 | なし |
ポータル修正 | ポータルの写真や名前、説明を変更出来る。 | なし |
陣営スタッツ | Intel。そのエリアでどちらの陣営が勝っているか確認できる。 | 陣営シェアを確認する方法はない |
拠点検索 | Intel Map、IITC(サードパーティ) | サードパーティ製のものがAPI制限で停止 |
イングレスにあってポケモンGOにない機能は追加の余地があり、それが新たなポケモンGOの魅力になると思われます。
ミッション
イングレスとポケモンGOを比較すると意外に「歩かせる仕組み」に差があることに気づきます。
ルアーモジュールを炊いて一箇所にじっとしていてもポケモンGOではそれなりに遊べますが、イングレスはずっと同じポータルの所に居続けて遊ぶのは難易度高いです。
「ミッション」は指定された複数ポータルをまわっていき、全て回り切るとミッション完了でバッジが貰える、というオリエンテーリングが出来る仕組みです。
このミッション自体をプレイヤー(レベル9以上)がWeb上のツールを使って作ることができ、それを他のプレイヤーが遊ぶことができます。
色々なテーマ、例えば大阪の郵便局を全てまわる、というものだったり、歴史探訪が出来るものだったり、色々なテーマのミッションがあり、プレイヤーの中にはイングレスをやる主たる理由がミッションである人もいるくらいです。
またミッションクリアの報酬のバッジがクリア順に横6列で並ぶことを利用して大きな絵柄にするミッションアートというジャンルも確立していて、またプレイヤー側でその絵柄を使って別の絵柄をマッシュアップする、という遊び方まで。
イングレス公式イベントのうちの1つ、MISSION DAYはプレイヤーが地域に集まって、指定ミッションをみんなでクリアする、というもの。つまりミッションだけで公式イベントが成立するくらいの流れですが、イングレスでも途中から追加された機能で、ポケモンGOでも全然導入可能な仕組みだと思われます。
ユーザー間コミュニケーション
イングレスのアプリには「COMM」と呼ばれる情報ウィンドウがあり、ここでユーザ同士のコミュニケーションも出来るチャットがあります。
ユーザー間のコミュニケーションの促進はメリット・デメリットそれぞれありますが、イングレスでは初心者の指導をしたり協力要請をしたりと、概ねゲームを促進する方向で使われています。
ポケモンGOはかなり早期からサードパーティのチャットがありますが、運営サイドが提供しないと「知る人ぞ知る」ツールになりかねませんし、みんなが使うようになると今度はNianticが管理できない事からのデメリットの方が大きくなる可能性が高いです。といってもイングレスと違ってポケモンGOは子供のプレイも前提にしている(年齢制限無しのポケモントレーナークラブをログインに採用)ので、青少年保護的な観点はかなり高く導入は慎重になるものと思われます。
ポータル追加
イングレスは早期からプレイヤー自身が選んだポータル候補をアプリで編集し申請することができました。
ポータル審査採用数がメダルに紐付いていた事もあり、膨大な審査申請を捌ききれず申請機能は停止していますが、その間にも地域限定でポータル申請できるようにするなど改良を続けています。
ポケモンGOの場合はプレイヤー数が膨大なので、良識的な申請を期待するのが難しい所がありますが、例えば地域限定でポケストップが少ない地域だけ開放する、ということは可能でしょう。イングレスと違って申請通過するインセンティブが現状のゲームデザインでは弱いのですが、採用されれば100ポケコインゲット!など方法はいくらでもあります。
ポータル修正
ポータルの申請でポータルの場所は決まりますが、そのポータルで使われる写真や名前、説明文は別のプレイヤーも申請可能です。
そしてこの機能はまだ有効で、ふざけた名称のポータルを正式名称に修正するマニアなどもいるくらいです。
ポケモンGOの場合はポケストップのディスクが丸いので、それにあった形の写真に変えたい、というニーズもあるはず。
陣営スタッツ
イングレスは緑のエンライテンドと青のレジスタンス、という2つの陣営に分かれて基本的には「どちらが陣取りで勝っているか」を指標にゲームを進めます。この陣地を広めることがゲームの基本テーマです。
ポケモンGOは赤・黄・青の3チームですが、ユーザーの目的はどちらかというとポケモン全てを図鑑に収める事に向いていて、自分の所属するチーム全体の勝敗の要素は希薄です。
現在のところ唯一ジムだけが占拠チームのカラーになるだけで、例えば青の占拠率が高ければどうこう、という話もありませんし、それを全プレイヤーが確認できる場所もありません。
イングレスの2つの陣営、というのは、圧倒的に片方の陣営が強い地域ではワンサイドゲームが続く傾向がありますが、3つに分けたのは確率的にはこのワンサイドを減少させる(敵と遭遇する確率が66%でイングレスの50%より高い)ので良かったと思われますが、それ以上に陣営の帰属心を醸し出す工夫はされていないようです。
ということは逆にカラーバランスが分かる仕組みが帰属心を醸し出し、遠征する、同じチーム内で交流する、など色々なアクションを引き起こすトリガーになるのはイングレスで既に実証済み。ということでいずれそういう枠組みが出てくるのでは?と思います。
拠点検索
先日Niantic側の社外ツール排除の措置により、ポケモンGOのAPIを利用していたサードパーティ製ツールの大多数が機能停止になりました。
プレイヤー的にはどの地域でどのポケモンが出るのかは興味の対象で、サードパーティ製のツールはそれに応えたものでしたが、Niantic的にはさらにポケモンGOの対象地域を広げるためにはこういうサードパーティのAPI利用でサーバリソースを食われたくない、という考えのもと、イングレスよりも厳格にこういった措置を行っています。
現在のバージョンで地域限定でテストされている「近隣ポケストップにどんなポケモンが出るか」の表示は部分的にこれに応えたものですが、それでもまだ近くのポケストップしか分かりませんし、例えばジムのチーム別占拠率も一覧で見ることが出来ません。旅行先や帰省先でどれくらいポケストップやジムがあるのかが、まだ行ってみないと分からない、という状況。別途地方自治体との観光促進を見据えた提携の話も進めているなか、自治体PRに依存したポケストップマップのPRなどのみでは、ナイアンティックがクオリティコントロールしきれない、という点で問題があります。
イングレスではベースが「陣取りゲーム」のため、全世界的にCF(陣地)がどうなってるか、を見せる必要がありましたが、ポケモンGOでは今後「その地域でどれくらいポケモンGOが楽しめるか」を見せるための拠点検索ツールが必要になると思います。
ざっと機能面からで列挙してみましたが、イングレスのフォローだけでもこれだけのやれそうなことがあり、さらにポケモンGOはイングレスとは比較にならない関係者・関係会社から出てくるアイデアもあるはず。そう考えると・・・最初の蔵出し状態のポケモンGOを見て「もうオワコン」というのは、熟成されていく過程を見据えない、ちょっともったいない行為かな?と思いますがどうでしょう?